音楽理論解説 「純正律と転調」

2021/08/06

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前回は純正律とマイナートライアドの比率を解説しました。

今日は純正律の最大の問題点、転調について解説したいと思います。
先に答えから書いておくと純正律では転調ができません。

演奏中にピッチを調節できない楽器(ギターやピアノなど)を純正律に調律できたと仮定します。
Cメジャーキーでそういった楽器を純正律に調律すると、Cメジャーキーの曲はきれいに弾くことができますが、違うキーの曲を弾くことができません。

曲中で転調ができないだけでなく、違うキーの曲を連続で弾くこともできないんですよね。
Cメジャーキーで調律したらCメジャーキーの曲しか弾けないので。

具体的に見ていきましょう。
またまたドが100hzだとした表に登場していただきましょう。

Cメジャーコード(ドミソ)の比率は4:5:6になることは以前に解説したとおりです。
同じようにメジャートライアド(主要三和音)FやGも4:5:6になります。

そこから半音上に転調したとしましょう。

そうするとメジャートライアドはC♯、F♯、G♯になります。
それぞれのコードの比率を見てみましょう。

C♯「ド♯、ファ、ソ♯」です。
少数を四捨五入しているのでわかりにくいですが、これは4:5:6になります。
これはぴったりでしたね。

ではF♯を見てみましょう。
これは計算すると2025:2560:3072になります(笑)
一番左を4になおすと4:5.56:6.07になります。

きれいな比にならないですよね。

同じように他のトライアドの比率を計算すると

G♯ 4:5:6
D♯m 1728:2025:2560
Fm 10:12:15
A♯m 50:64:75
になります。

G♯とFmはちゃんとした比率になっていますが、D♯mとA♯mは純正の比率ではありません。

このように転調すると純正の響きを得られない和音がたくさん出てきてしまうので、転調ができないという事ですね。

 

たとえ転調しなくてもダイアトニック以外のコードを弾くこともできません。
Cメジャーキーの曲でもF♯を使うことがたまにありますからね。

このように転調できなかったり、ダイアトニック以外のコードが使えないのが純正律の問題点です。
それを解決したのが平均律です。

その解説は次回にしましょう。

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